2013北斗旗全日本空道無差別選手権大会

(2013.11.16 国立代々木競技場第二体育館)

北斗旗には、年に2回の全日本選手権大会がある。

春の体力別+シニア、そして秋の無差別+ジュニア大会だ。
関東地区予選を経て、迎えた11月16日、空道にとっての「聖地」代々木第二体育館で、今年も秋の無差別大会が行われた。

来年に迫った世界選手権大会に向けて、各階級の有力選手たちが鎬を削ることになる。
無差別級とはいえ、ベスト8まではおおよそ体力別にブロックが組まれるため代表選考にも大きく影響する試合なのだ。

吉祥寺からはベテラン水戸部隆弘、昨年3位入賞の加藤和徳、予選で軽量全日本2位と好勝負をして推薦枠に残った國枝厚志の3名に加え、現札幌南支部長で、数年前に吉祥寺に在籍、世界選手権中量級2位の田中俊輔が出場した。

【1回戦】

まずは水戸部が登場。
予選では好調だった43歳の水戸部、相手は西日本のホープ、21歳の伊藤(日進)だ。

試合開始と同時に積極的にワンツーで攻め込む水戸部。
対してタイミングのいいカウンターを返していく伊藤。

やや焦ったか、モーションの大きくなったところに続けてカウンターの右をクリーンヒット、「効果」を奪われ、投げも決められてしまう水戸部。
最後まで攻めたものの展開を変えられず、無念の初戦敗退となった。

続く加藤は硬さが見られ、やや手数が少ないものの、要所要所で重いローキック、膝蹴りを効かせて流れをつかみ、危なげなく優勢勝ち。

【2回戦】

これが全日本デビュー戦の19歳、國枝は1回戦不戦勝により2回戦からの登場。
先に「無差別でもベスト8までは体力別」と書いたばかりだが、なぜか軽量級60kg台の國枝の相手は85kg。

この体重差も、もちろん初めてのこと。
試合開始早々、押し込まれて組まれる展開となってしまう。
終了間際には、疲れの見えた相手に右ストレートをヒットさせるが、逆転には至らず。
初戦敗退となった。

1回戦シードの田中俊輔は、リーチの長い相手に組まれて手こずったものの、ミドルキック、前蹴りと的確にヒット。
優勢勝ちで初戦突破した。

続いて加藤が登場。
パワフルな突進で1回戦を突破した東北の新鋭が相手となる。

試合開始と同時に、やはり低い姿勢で突進し、組みの展開となるが、慌てずに対処してブレイク。

次のコンタクトの瞬間、勝負が決まった。
やはり突っ込んで来た相手に加藤のテンカオ一撃!
崩れ落ちて悶絶する姿に、誰もが一本勝ちだけでなく、肋骨か胸骨が破壊されたことを直感する壮絶KO勝ちで3回戦へ駒を進めた。

【3回戦】

田中俊輔のベスト8をかけた3回戦は、内田(総本部)と当たることに。
昨年の中量級王者であり、関東地区予選で敗れた相手だ。
連敗するわけにはいかない田中、気合充分で臨む。

前蹴りで突き放そうとする田中に対し、接近して組みの展開を狙う内田。
下がりながら蹴りを当て、組んでも肘打ちで投げさせない田中だが、明確な差を付けられないまま、単調に本戦を終える。
引き分けとなり延長戦へ入っても展開は変わらない。
ひたすら前進して接近する内田に、組み合いから肘を入れていく田中。

後半、田中が前に出て押し返そうとしたところへ内田のローキックがちょうど合ったかたちになり、田中が転倒。
寝技にはならないものの、若干印象を悪くしたまま試合終了となる。

判定は3-2の僅差で内田へ。
田中の肘や組んでのコントロールよりも、内田の前進と足払いが支持されたか、田中にとっては不完全燃焼の一戦となった。


ほぼ同時に加藤和徳が反対側コートに登場。
相手は、圧倒的なパワーでこれまで3度の無差別制覇を果たしている加藤久輝(安城)。現在の国内最強選手と言っていい。

サウスポーの久輝に対する和徳の作戦は、セオリー通りに右ミドル。

試合が始まると、作戦は的中。
腕、腹と高さを変えたミドルと前蹴りで久輝の前進を止め、的を絞らせずに有効打を与えない。
強いプレッシャーにも負けず、試合をコントロールし続ける和徳に、場内もアップセットの予感からざわめき始める。

しかし、試合終了間近に久輝が底力と瞬間の爆発力を見せた。
振り回すようなフックが和徳の側頭部を捉えバランスを崩し「効果」を奪取。

けしてクリーンヒットではないが、やはり当たればタダでは済まない威力だ。

そのままタイムアップし、和徳も無念のベスト16敗退となった。


トーナメントは、そのまま勝ち進んだ久輝が優勝。
和徳は健闘が認められ、特別賞を受賞した。

全体としては、軽量の選手たちの活躍が目を引く大会だったと言えるだろう。
準優勝の中村、3位の谷井、4位の目黒とベスト4に3人の軽量級が並ぶのは史上初のことだ。
しかも、この3人は皆20代であり、選手年齢層の上昇が顕著な最近の傾向からしても将来的に明るい材料である。

来年の世界選手権に向け、吉祥寺からも末廣、國枝も加わって切磋琢磨していってもらいたい。