末廣、ムエタイ王者から金星!

2006.10.28 オーエンジャイ

末廣にとっては、この日の試合は大事な試金石となる。11月19日(日)、ついにラジャダムナンスタジアムに立つことが決まったからだ。日本人の同階級の選手をなぎ倒してきた右は、タイ人に通用するのだろうか。
相手のヌアナパーが会場に到着すると、まず驚かされたのは容貌のあどけなさ。 21歳とのことだったが、中学生くらいに見えるのである。元タイトルホルダーだという実績とのミスマッチが、逆に嫌な感じのする相手だ。
余裕、というより照れ臭そうな笑顔で入場し、ワイクーを舞うヌアナパー、対する末廣は、緊張感は漂うものの落ち着いた表情。
ゴングが鳴ると、まずは末廣が突っかけていく。得意のパンチではなく、まずはミドル、ローを蹴り分けてヌアナパーのリズムを崩していく。体ごと突っ込むような右をもらうも、大きなダメージはなく、ヌアナパーのしようとしていることをさせない展開に、徐々にタイ人セコンドも焦れ始めるのが分かる。
2Rになると、焦るヌアナパーに対し、ブロックの隙間を縫うようなアッパーなども当たり始め、試合は末廣のペースに。首相撲も、さすがに完封とはいかないものの、不用意な崩され方はしない。ヌアナパーが反則であるはずの飛び打ち下ろし肘を繰り出す場面も見られ、会場も末廣の戦いぶりにヒートアップしていく。
最終3Rも末廣のパンチはヌアナパーを捉え続ける。こうなったときのタイ人の定石、首相撲はやはりヌアナパー有利だが、ペース支配は末廣。怒号に近い指示がタイ人セコンドから飛んでいるのを見ると、本当に末廣がリードしているのだろう。そのままタイムアップし、会場中から歓声が上がる(もちろん吉祥寺勢がほとんどだが)。
判定は末廣に。ここで会場のボルテージも最高潮に達した。
同日の試合でもヨーユットが日本人強豪を完封したのを見せつけられているだけに、 (おそらく)無名の日本人空手家がタイ人に勝つ光景は、確かに興奮させるものがある。試合後もシャワーを浴びて1Fに降りてきた末廣を、一般の観客が拍手で迎える場面も見られた。
この勢いを駆って、本場でもタイ人打倒なるか?
ちなみに、この日のリングネームは「ジェニファー智明」だった(笑)。